1. 本ガイドラインの目的 2. 議決権行使に関する基本的な考え方 |
3. 個別の議案に対する考え方 4. 議決権行使に関する業務体制 |
本ガイドラインの方針に基づき適用している具体的判断基準については、こちらをご覧ください。
国内株式議決権行使基準(現行)
1. 本ガイドラインの目的
2. 議決権行使に関する基本的な考え方
- (1)議決権には財産的価値があり、その行使は投資行動の一部をなすものである。したがって、運用受託機関としての受託者責任を全うするため、株式の買付や売却の判断と同じく顧客の利益のみを専一に考えて議決権を行使しなければならない。
- (2)議決権行使指図は、原則としてすべての議案を精査したうえで賛成もしくは反対の指図を行うこととし、棄権および白紙委任は行わないものとする。なお、証券売却後で、議決権のみを保有する場合であっても同様とする。
- (3)各議案の賛否にかかる判断は、株主価値に対する効果を唯一の基準とし、株主価値の増加につながると判断される議案に対しては賛成、株主価値の減少につながると判断される議案に対しては反対の意思表示を行なわなければならない。仮に、当該判断が、当社が有するその他の利益に相反する可能性がある場合であっても同様とする。
- (4)下記に該当する企業に対しては、株主価値保全と当該企業のコーポレートガバナンスの改善を慫慂する観点から、特に慎重に議案を精査のうえ、議決権を行使するものとする。
- (a)反社会的行為を行った企業
反社会的行為とは、以下に掲げる行政違反、環境違反、財務違反、労務違反、製造違反等の法令違反、並びに公序良俗に反する行為とする。
- 1. 行政違反
- 談合、カルテル、脱税・申告漏れ等、罰金・賠償金の支払や行政処分等に伴う事業活動への制約、企業イメージの低下を通じて、企業価値の著しい毀損をもたらすと判断される行為。
- 2. 環境違反
- 公害、産業廃棄物の不法投棄等、賠償金の支払や企業イメージの低下を通じて、企業価値の著しい毀損をもたらすと判断される行為。
- 3. 財務違反
- 粉飾決算、有価証券報告書への虚偽記載等、上場基準に抵触する恐れのある行為。
- 4. 労務違反
- セクシャル・ハラスメント、雇用上の差別、過剰労働による事故の発生等、賠償金の支払や企業イメージの低下を通じて、企業価値の著しい毀損をもたらすと判断される行為。
- 5. 製造違反
- 人体に危害を及ぼす製品・サービスの製造・販売等、賠償金の支払や企業イメージの低下を通じて、企業価値の著しい毀損をもたらすと判断される行為。
- 6. その他違反
- 政治家に対する違法献金、総会屋に対する利益供与、贈収賄等、事業活動の制約(行政処分等)や企業イメージの低下を通じ、企業価値の著しい毀損をもたらすと判断される行為。
- 7. 公序良俗に反する行為
- 例え違法でなくとも、明らかに社会常識に反し、かつ結果として企業価値の著しい毀損をもたらすと判断される行為。
- (b)ディスクローズに問題がある企業
- (c)業績・株価パフォーマンスが著しく悪化した企業
- (d)株主価値を毀損する、あるいは著しく不安定にする経営戦略、資本政策等を採用した企業
- (e)社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題への対応が不十分な企業
- (f)収益性及び株主還元の水準が共に継続して低位にとどまり、改善がみられない企業
3. 個別の議案に対する考え方
個別議案の賛否判断に際しては、原則として、以下の指針に従うものとする
1. 剰余金処分に関する議案(配当)
配当については、企業の成長性や収益性との適切なバランスが保たれた分配政策であるかを精査する。
以下に該当する場合は、原則として反対する。
- 1.株主還元が自己資本純利益率(ROE)に照らして著しく低い場合
2. 取締役・監査役選任議案(取締役会等の構成)
取締役会等の構成については、期待されるコーポレートガバナンス機能を有効に発揮し得る適切な構成となっているかを精査する。
以下に該当する場合は、原則として反対する。
- 1.会社規模に照らして取締役数が著しく多い場合
- 2.合理的な理由なく社内取締役の増員が行われる場合
- 3.取締役会の多様性が著しく欠けている場合
3. 取締役・監査役選任議案(取締役・監査役の適格性)
取締役・監査役候補者については、期待される役割を全うしうる資質を有しているかを精査する。
前章(4)条に該当する企業については、取締役・監査役候補者の適格性を特に慎重に検討する。
4. 社外取締役・社外監査役選任議案
社外取締役・社外監査役候補者については、期待される役割を果たし得る諸条件を満たしているかを精査する。
以下に該当する場合は、原則として反対する。
- 1.当該企業及び関連企業の業務執行者、当該企業の主要株主出身者、大口取引先出身者、当該企業から役員報酬以外に金銭その他の財産を得ている会計専門家等であって、独立性の観点から問題があると考えられる候補者
- 2.合理的な理由がなく、取締役会等への出席率が著しく低い候補者
5. 役員賞与・退職慰労金・ストックオプション等の報酬関連議案
役員等の報酬については、業績や株主への利益分配に照らして妥当な水準であるか、将来の企業価値・株主価値の増大に資する制度・内容であるかを精査する。
以下に該当する場合は、原則として反対する。
- 1.前章(4)条に該当する企業で、妥当性に欠ける報酬提案と判断される場合
- 2.社外役員の独立性を損なう恐れがある等、コーポレートガバナンスの観点から問題がある報酬制度と判断される場合
- 3.大幅な希薄化の可能性を伴うストックオプション等、既存株主の利益に相反する報酬内容と判断される場合
役員報酬等の個別開示については、個々の取締役選任の賛否判断を行う上で有用な情報となり得るとの立場から、原則として賛成する。
6. 定款変更議案
定款変更については、当該変更が株主価値の保全・向上に資するものであるか、既存株主の権利を不当に制限するものでないかを精査する。
以下に該当する場合は、原則として反対する。
- 1.発行可能株式総数を拡大する変更で、その必要性が認められず、既存株主価値の希薄化に対する潜在的な影響が大きい場合
- 2.特段の理由なく取締役の解任に関する決議要件を厳格化する変更
- 3.特段の理由なく剰余金配当に関する株主提案権を排除する変更
7. 営業・資本の変更等に関する議案
合併、買収、営業譲渡等、営業・資本の変更等に関しては、当該提案が既存株主の利益に資するものであるかを個別に精査する。
8. 買収防衛策関連議案
買収防衛策については、当該防衛策が既存株主の利益に資するものであるかを個別に精査する。
大幅な希薄化を惹き起こす新株予約権の発行を防衛手段として用い、その発動基準の客観的妥当性・透明性を担保し得ない制度内容となっている場合は、原則として反対する。
9. 株主提案議案
株主提案議案については、株主全体の利益に適う提案であるかを精査する。
4. 議決権行使に関する業務体制
- (1)国内株式の議決権行使に関しては、担当アナリストが本ガイドラインに則って、議案の精査を行い、国内株式投資戦略会議に議決権行使案を起案する。
- (2)議決権行使に関する最終意思決定は、国内株式投資戦略会議にてこれを行う。ただし、本ガイドラインに照らして例外的な判断を必要とする場合は、責任投資委員会での協議にはかるものとする。
- (3)議決権行使結果については、原則、半期毎に責任投資委員会および経営会議に報告する。
以上